今回で最後となる撮影旅。習慣になっていたスローライフな島撮影が、これで終わりかと思うと、なんだかちょっと寂しく、そして、有終の美を飾りたいとの気持ちから身が引き締まる思いになった。
亜熱帯気候でトロピカルな植物がそこら中に生えている、八丈島。
暖かくしっとりした空気が、撮影時に木々の新緑の美しさと潤い感をしっかりと演出してくれる場所だと感じた。
八丈島の伝統工芸品、黄八丈。
機織りの作業をしながら織り子さんが、「染師によって、色のトーンが変わるよ。」と、撮影中の僕に教えてくれた。
写真家としても色に敏感な僕は、なんだかその一言が黄八丈の奥深さを物語っているなと思った。
地球のエネルギーが、みなぎっている様子を目の当たりにした島、三宅島。
噴火の影響で、今にも動き出しそうなダイナミックな景色が至るところで見られる場所。
どこを撮っても画になる、力強さを感じる土地だ。
中でも印象的だったのが椎取神社。
神社周辺の木々が火山性のガスによって立ち枯れてしまっているほか、通常はくぐるはずの鳥居が足元に。
地表の高さを何メートルも変えてしまう噴火の泥流の威力を光景から察し、息を呑む。
静かにシャッター音だけがその場に鳴り響いた。
とてもコンパクトな利島。
15分ほどあれば車で一周できてしまう小さな島。
椿の木のほうが島民より圧倒的に多く、椿が島の産業資源となっていることから、とても重宝されている。
山の斜面に作られた椿の段々畑がとても綺麗に手入れされていて、島の人がたくさんの愛情を注ぎながら、育てている様子が一目でわかった。
開花時期でなくても綺麗に映る艶やかな葉の椿の木々を撮りながら、満開な椿の鮮やかな赤を想像した時、とても心が弾んだ。
咲き乱れている冬の季節にも訪れてみたいと思えた場所だった。
約3週間に渡る島旅でしまぽ通貨は大活躍。
沢山の島を旅したので、あっという間に上限の8セットを使い切ってしまったが、宿代に飲食代、レンタカーやガソリン代、そしてお土産代まで支払いできたので、旅の資金として上手く活用し、合計2万4千円もお得に旅ができた。
これで僕の東京諸島撮影旅は終わり。
まだまだ伝えきれない魅力が沢山あるので、是非しまぽ通貨を使って実際に東京の島々を訪れてみて欲しい。
澄んでいて潤いのある空気と温暖な気候で、同じ東京でも光の質感が全く異なる島での撮影。
なおかつ自然が豊富で、被写体も生き生きとした表情を撮ることができる。
そして都内から乗り換えなしで行けてしまうアクセスの良さ。
またプライベートでも仕事の撮影場所としても訪れたい場所だと思える、癒しの空間と理想的な環境が東京諸島にあった。
(撮影・文 フリーカメラマン:橋本越百)