東京諸島の島にまつわる有名な作品に、川端康成の小説「伊豆の踊子」や、クリント・イーストウッド監督の映画「父親たちの星条旗」、「硫黄島からの手紙」などがあります。今回はこの名作と重ね合わせながら東京諸島の旅を楽しめるオススメな場所を紹介いたします。

大島:旧港屋旅館・甚の丸邸
川端康成の小説「伊豆の踊子」の舞台は伊豆半島ですが、登場する旅芸人一座の出身地が大島の波浮港だと言われています。波浮港はノスタルジックな雰囲気の漂う港町で、現在も古い木造家屋が残る港東側のエリアは「踊り子の里」と呼ばれています。丘中腹にある旧港屋旅館は「伊豆の踊子」の旅芸人一座が芸を披露していたことで知られており、現在は「踊り子の里資料館」として当時の様子を再現した人形や、旅一座に関する資料が展示されています。旧港屋旅館前にある「踊り子坂」と呼ばれる坂を上がると「旧甚の丸邸」があります。「旧甚の丸邸」はお客様の接待に踊り子を呼んでいたとされている邸宅で、豪華な石造りの2階建てとなっています。当時の豪勢な暮らしぶりを垣間見ながら、「伊豆の踊子」の描写と照らし合せて、ゆかりの地を楽しむことができます。

父島・母島: 硫黄島クルーズ
硫黄三島は竹芝港からおよそ1,000km南方にある父島からさらに約300km南に位置します。太平洋戦争の激戦地として知られ、「父親たちの星条旗」や「硫黄島からの手紙」の舞台にもなった「硫黄島」。現在は海上自衛隊と航空自衛隊の基地があり、民間人の立ち入りは制限されていますが、年に一回、船で硫黄島を周囲から眺める「硫黄島クルーズ」でのみ近づくことが可能です。「硫黄島」のほか、「北硫黄島」と「南硫黄島」の硫黄三島の周囲をクルーズします。硫黄島はあちこちから噴気が立ち上っており、硫黄の匂いが船まで漂ってきます。海岸線には朽ちた船など戦争の傷跡を感じられ、星条旗が掲げられた摺鉢山を望み、映画の名場面が思い出されます。島を一周した後に献花用の菊を海に投じ、黙祷を捧げます。船は長い汽笛を鳴らしながら硫黄島を後にします。

作品の中の名場面と目の当たりにする景色を重ね合わせながら、作品の世界を覗いてみると、より上質な旅を堪能できますよ。

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